40代で歯茎が下がるのは加齢のせい?原因を2つに分けて考える

40代で歯茎が下がる原因は、歯周病によって歯を支える骨が減っていくタイプと、歯みがきや噛み合わせの力によって歯肉が押し下げられるタイプの2つに分かれます。日本歯科医学会が示す歯周病の分類でも、この2つは別の項目として整理されています。歯みがきの力を弱めても、歯周病が進んでいれば歯茎は下がり続けます。
この記事では、2つのタイプの見分け方、自分で気づける変化と歯科の検査でなければ分からないこと、そして下がった歯茎を元の位置に戻す処置を受けられる条件を整理します。
この記事でわかること
● 歯茎が下がる原因が、歯周病によるタイプと歯みがき・噛み合わせの力によるタイプの2つに分かれること
● 自分で気づけることと、歯科の検査を受けないと分からないこと
● 下がった歯茎を元の位置に戻す処置を受けられる条件
年齢とともに増えるのは、歯を支える骨が減っている人の割合
40代で歯茎が下がるのは、年齢そのものが歯肉を押し下げているというより、20代や30代から続いていた変化が見た目に表れてくるためだと考えられます。
厚生労働省 e-ヘルスネットによると、深さ4mm以上の歯周ポケットを持つ方の割合は45歳以上で過半数を占めます。一方で、歯肉出血がある方の割合はどの年齢層でも4割前後とほぼ一定しています。
参照元:平成 28 年歯科疾患実態調査
この2つを並べると、年齢とともに変わっているのは炎症が起きているかどうかではなく、その炎症によって骨がどこまで減ったかだと整理できます。日本歯科医学会の資料でも、慢性歯周炎の発症は概ね30歳代以降とされています。
参照元:歯周病の治療に関する基本的な考え方(日本歯科医学会)
年齢が無関係というわけではありません。e-ヘルスネットは歯周病が起こりやすい方の特徴として「中年期以降の方」を挙げています。ただ「歳のせい」でまとめてしまうと、変えられる原因まで見えなくなってしまいます。
歯茎が下がる原因は「歯周病」と「歯みがき・噛み合わせ」に分かれる
歯茎が下がる原因は、歯周病によって歯を支える骨が減っていくタイプと、歯みがきや噛み合わせの力によって歯肉が押し下げられるタイプの2つに分かれます。日本歯科医学会の資料では、歯肉の縁が根元側へ移動して歯根の表面が露出した状態を歯肉退縮と呼び、強い噛む力によって起こる咬合性外傷とあわせて、歯周炎とは別の項目として整理されています。
参照元:歯周病の治療に関する基本的な考え方(日本歯科医学会)
ここが分かれ道になるのは、変えるべきことが違ってくるからです。歯みがきの力を弱めても、歯周病が進んでいれば歯茎は下がり続けます。逆に歯周病が落ち着いても、強い力がかかり続けていれば同じです。
歯周病で、歯を支える骨が減るタイプ
歯周病は、歯と歯肉のすき間から入った細菌が歯肉に炎症を起こし、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていく病気とされています。骨が減れば、その上に乗っている歯肉の位置も下がっていきます。見た目には歯茎が下がったと映りますが、実際に減っているのは骨です。
手がかりになるのは炎症のサインです。歯みがきのときの出血、朝起きたときに口のなかがネバつく感じ、歯肉がときどき腫れること、口臭が気になること。こうした変化が重なっているようなら、歯周病が関わっている可能性を考えてみてください。
参照元:歯周病とは(e-ヘルスネット・厚生労働省)
歯みがきや噛み合わせの力で、歯肉が押し下げられるタイプ
歯周病がなくても歯肉の位置は下がります。力の出どころは、歯ブラシを当てる力、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの偏りの3つに整理できます。
歯みがきについては、時間をかけることと力を入れることを分けて考えてみてください。歯みがきの目的はプラーク(歯垢)を落とすことで、そのために必要なのは毛先が届いていることです。押し付ける強さと落ちる量は比例しません。硬い歯ブラシを使っている、毛先がすぐ開いてしまう、力を入れて短時間で終わらせている、という場合は、道具と力の入れ方が見直しの対象になります。
このタイプの手がかりは、下がっているのが特定の歯に偏っていること、歯ブラシの毛先の開きが早いこと、朝起きたときに顎が疲れていることなどです。
自分がどちらのタイプか分かる?
炎症のサインが当てはまるかどうかで、どちらのタイプかの見当はある程度つきます。ただし歯を支える骨がどこまで減っているかは、鏡では分かりません。
歯周病のセルフチェック7項目
厚生労働省 e-ヘルスネットは、歯周病のセルフチェックリストとして次の7項目を挙げています。
● 朝起きたときに、口のなかがネバネバする
● 歯みがきのときに出血する
● 硬いものが噛みにくい
● 口臭が気になる
● 歯肉がときどき腫れる
● 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた
● 歯がグラグラする
参照元:歯周疾患の自覚症状とセルフチェック(e-ヘルスネット・厚生労働省)
もし出血、ネバつき、腫れ、口臭が複数当てはまるようなら、歯周病が関わっている可能性があります。一方、下がっているのが特定の歯に偏っていて、炎症に関する項目はほとんど当てはまらないという場合は、歯みがきや噛み合わせの力が関わっている可能性を考えてみてください。両方が当てはまることもあります。
歯科の検査でなければ分からないこと
症状があるかどうかと、進行がどこまで来ているかは一致しません。歯周関連の自覚症状(歯ぐきが痛い、はれている、出血がある)を感じている方は、65歳未満で15%前後にとどまるとされています。
参照元:歯周疾患の有病状況(e-ヘルスネット・厚生労働省)
歯科では、歯周ポケットの深さを調べ、X線で骨の減り方を確認します。骨がどのような形で減っているかを立体的に見る場合には、CTが有効な検査法とされています。
自分で気づけるのは炎症のサインまでで、どの歯でどこまで骨が減っているかは、歯科の検査を受けてはじめて分かります。
下がった歯茎は元に戻る?
下がった歯茎を元の位置に戻す処置はありますが、受けられる条件が限られます。一方で、これ以上下がらないようにする取り組みは、条件を問わず始められます。
元の位置に戻す処置を受けられる条件
日本歯科医学会の資料では、範囲が限られた歯肉退縮を改善するための手術がいくつか挙げられています。いずれも、下がっている範囲が限られたケースを前提とした処置です。
減ってしまった骨を再生させる歯周組織再生療法もありますが、こちらは根分岐部病変や垂直性骨欠損が適応とされています。骨がどのような形で減っているかによって適応が変わるため、X線やCTで骨の状態を確認したうえでの判断になります。
参照元:歯周病の治療に関する基本的な考え方(日本歯科医学会)
全体的にじわじわと下がってきた場合は、これらの条件から外れることもあります。戻せる方もいますが、誰でも戻せるわけではありません。
これ以上下げないために自分でできること
自分で変えられるのは、歯ブラシの硬さと当てる力、喫煙の習慣、そして食いしばりに気づくことです。また、たばこは歯周病を進行させるだけでなく、治療の効果も上がりにくくなることが知られています。就寝時や集中しているときに歯を噛みしめていないか意識してみると、力のかかり方に気づけることがあります。
一方で、歯石を自分で取ることはできません。歯石は表面がざらざらしていて内部にすき間もあるため、細菌の膜(バイオフィルム)ができやすい状態になります。バイオフィルムは薬品が効きにくいとされていて、歯みがきや歯科医院での清掃といった機械的な除去が必要になります。歯石が付いたまま歯みがきだけを頑張っても追いつかなくなるのは、このためです。
参照元:歯周病の予防と治療(e-ヘルスネット・厚生労働省)
原因の見極めから始める|水天宮前歯科医院の歯周病への向き合い方
歯周病が関わっているのか、歯みがきや噛み合わせの力が関わっているのか、そして骨がどこまで減っているのかは、レントゲンや歯周ポケットを測定する検査を受けてはじめて分かります。
状態が落ち着いた後は、歯科衛生士によるクリーニング(PMTC)と定期的な検査を組み合わせています。歯茎の下がりは、一度止まっても管理をやめれば再び進むことがあるためです。
歯茎の下がりが気になり始めた段階でも、何が起きているかを確かめるところから始められます。気になる症状について先に相談したい場合はメール相談を、検査を受けたい場合はご予約をご利用ください。
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