歯ぎしり・食いしばりに
エラボトックス治療
(ボツリヌス治療)

歯ぎしりや食いしばりが気になる方、歯の破損や強い咬耗がある方、エラの張りが気になる方には、「エラボトックス治療」が効果的です。美容目的のイメージが強いボトックスですが、歯科では咬筋を緩めることで、歯への負担を減らし、顎の不調も改善します。
歯ぎしりや食いしばりを放置するリスク

「歯ぎしり」や「食いしばり」は、放置してしまうと、さまざまなリスクがあるため注意が必要です。
とくに、就寝時の「歯ぎしり」や「食いしばり」は無意識下で行われ、体重の何倍もの負荷がかかるといわれています。歯に負担をかけることはもちろん、全身の不調を引き起こす可能性があります。
- 顎関節症、頭痛、肩こり
- 歯の破折、摩耗
- エラの張り(咬筋の肥大)
- 詰め物の脱落、破損
- 歯周病の悪化、知覚過敏
歯ぎしりや食いしばりのセルフチェック

「もしかしたら寝ているときに、歯ぎしりをしているかも……?」と不安に思われている方は、まずは以下のセルフチェックを行ってみましょう。
もし複数当てはまるところがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
【セルフチェック12項目】
- 歯のすり減りが大きい
- 歯の根元部分が凹んでいる
- 歯がしみる(知覚過敏)
- 口が開きにくい・開けると痛い
- 肩・首がよく凝る・偏頭痛がある
- エラが張ってきた気がする
- 詰め物や被せ物がよく外れる
- 日中、食いしばっている癖がある
- 舌や、頬の内側に歯型がついている
- 上下の顎の骨に出っ張っているところ(骨隆起)がある
- 起床時に顎の疲れや、熟睡できていないようなダルさがある
- 就寝時の「歯ぎしり」「食いしばり」を家族に指摘された
歯ぎしり・食いしばりにエラボトックスが有効なワケ

美容の領域では、
「シワ取り」等に使用されているボトックス治療ですが、歯科領域では「歯ぎしり」や「食いしばり」の緩和に有効とされています。
歯科のエラボトックス注射とは
「ボツリヌストキシン」から抽出されたタンパク質を筋肉に注射し、筋肉の緊張を和らげる治療法です。(ボツリヌス治療とも呼びます)
歯科では「歯ぎしり」や「食いしばり」、それに伴う「顎関節症」「歯のすり減り」などの緩和に用いられ、安全性も確認されています
(第35回日本顎関節学会総会「顎関節症の難治性筋痛に対するボツリヌス治療」より)。
また、歯科領域ではその他にも、笑ったときに上の歯茎が見え過ぎてしまう「ガミースマイル」の改善や、顎先の梅干しヒダの治療にも活用されます。
過剰な筋肉の力を抑制するだけなので、食事がしにくくなることはありません。
エラボトックス注射は
どこに打つのか?

「咬筋」と呼ばれる、頬の骨からエラの角部分にかかる板状の筋肉に、片顎3ヶ所ずつ(片顎25単位)注射をします。
術後一週間ほどで、朝の起床時の疲労感が改善したり、咬みしめなどの軽減が実感できたりするようになり始めます。
またガミースマイルやオトガイの梅干しシワの改善には、それぞれの適応部位に打つ必要があります。
エラボトックス注射の
メリット

違和感が少ない/症状の軽減ができる
一般的な治療法のマウスピース療法と異なり、器具の装着が不要のため、違和感があって治療を継続できない方にはおすすめです。
また、筋肉の緊張を軽減することで、歯ぎしりや食いしばり自体を軽減する効果があります。
小顔効果やシワの改善が期待できる
過剰に発達した咬筋を弛緩させることで、フェイスラインがシャープになることが期待されます。
その他、下記の効果も期待されます。
- 顎の梅干しのようなシワや、ほうれい線の緩和・改善
- 歯ぎしりが原因の歯周病進行の緩和・改善
- 食いしばりによる、肩の凝りや頭痛の緩和
- ガミースマイルの改善(上の唇の筋力が強いことが原因の場合) など
施術をする際の注意点・副作用

エラボトックス注射にはいくつか注意点と副作用があります。
事前にしっかり確認してから、施術に臨むようにしましょう。
施術当日に控える事項
①長時間の入浴・サウナ
②激しい運動
③過度の飲酒(1~2杯まで)
④注射部位に強い刺激を与える・冷却する
施術を行えない方
①全身性の筋肉疾患(重症筋無力症など)をお持ちの方
②妊娠中(妊娠の可能性がある)、授乳中の方
③妊娠予定の方とその配偶者
(女性は2回の生理が終わるまで、男性は3ヵ月避妊が必要)
施術による副作用
①注射部分の内出血・腫れ
②顎のだるさ・違和感
治療の流れ

ボトックス治療を行う前に、現在の症状がどのような要因によるものかを精査し、適応可能か診断します。
症状に複数の原因がある場合も考慮し、治療が適切と判断された場合にのみ治療を実施いたします。
診断の結果によっては、ボトックス注射以外の治療方法をご提案させていただく場合もあります。
また、実施可能となった場合、診査診断日にボトックス注射を打つことも可能です。
効果の持続期間は?

治療効果の持続期間には個人差がありますが、およそ4〜6ヶ月が目安です。
継続的な効果をご要望の場合、状況応じて定期的な治療を行うことが必要となります。
ただし、短期間で繰り返し施術を行うと、治療効果の減弱、また多量接種による中毒を引き起こす可能性があるため、当院では3か月以上空けての実施を推奨しております。
定期的なボトックス治療については、経過を見て、患者さまとご相談しながら決定していきます。
効果を長持ちさせるためにできること
①咬筋マッサージ
ボトックスによって解された筋肉が再度凝らないようにする目的となります。
朝・晩や疲労時に一日2.3セット実施すると効果的です。
ただし、ボトックス注射から3日ほどは、過度なマッサージはお控え下さい。
②TCH改善(日中の噛み癖改善)
TCHは、日中に無意識で上下の歯が接触し続ける悪習癖で、顎や歯に負担をかけます。
本来、歯は1日20〜30分しか接触しないのが正常ですが、集中時などに長時間触れていると負荷が蓄積します。
TCHがあると咬筋の緊張が増し、ボトックスの効果も持続しにくくなるため、TCHを意識的に抑えることが重要です。
地道な継続により、夜間の歯ぎしり軽減も期待できます。
エラボトックス治療(ボツリヌス治療)の費用
当院での部位ごとのエラボトックス治療の料金(税抜き表記)は以下の通りとなります。
咬筋 | 19,800円~/回 |
---|
両側の咬筋へそれぞれ3点注射1回の料金です。
オトガイ部 | 17,600円~/回 |
---|
梅干しシワ解消のためオトガイ部へ2点注射1回の料金です。
上唇挙筋 | 17,600円~/回 |
---|
ガミースマイル解消のための注射1回の料金です。
※医療費控除の適応について
歯ぎしり・食いしばりの解消のためのボトックス(ボツリヌス)注射は、
美容目的ではないため、医療費控除の対象として計上することが認められています。
ご自身の症状が適応になるかどうか詳しくは診療時に担当医までご相談下さい。
エラボトックスの
よくある質問
痛みが最小限になるよう最も細い針を使用しますので、痛みは最小限となります。
お化粧したままでも大丈夫です。エラボトックス施術範囲の周辺は、アルコールで消毒させていただきますので予めご了承ください。
エラボトックスは表情筋に対する作用はないため、表情が強張ったり、作りにくくなったりすることはありません。
ボトックス療法は比較的効果を実感しやすい治療法になりますが、元の咬筋の緊張具合・歯ぎしりの程度などによって1回で実感できない場合もあります。複数回の施術や注入単位数を上げることで実感できる可能性が高くなります。
エラボトックスの注射自体は5分ほどで終わります。
初診時は、診査診断のため触診、写真やレントゲンの実施で1時間ほどお時間をいただいております。